在宅介護のイラスト

自宅で家族を介護していると、おむつ代やサービスの自己負担、住まいの手すり設置など、思っていた以上にお金がかかるものです。「こんなに費用がかさむとは思わなかった」という声は少なくありません。

一方で、日本には在宅介護の費用負担を軽くするための制度がいくつもあります。高額になった自己負担が後から戻ってくる仕組みや、住宅改修・福祉用具の補助、おむつ代の助成など、知っていれば使えるものがたくさんあるのです。

ただし、これらの制度には大きな落とし穴があります。多くの制度は「申請しないともらえない」ということです。自動的に振り込まれるわけではなく、自分で手続きをして初めて受け取れます。つまり、制度を知らないまま過ごすと、本来受け取れたはずのお金を取りこぼしてしまう——まさに「知らないと損」なのです。

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この記事を読む前に知っておいてほしいこと

これからご紹介する制度の金額・条件・対象は、お住まいの市区町村や年度によって変わります。この記事では一般的に広く知られている制度の「目安」をお伝えしますが、実際に使えるかどうか・いくら戻るかは、必ずお住まいの市区町村の窓口や担当のケアマネジャーにご確認ください。

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在宅介護で使えるお金の制度【7つ】

ここからは、在宅介護で使えるお金の制度を7つご紹介します。それぞれ「どんな制度か」「対象の目安」「申請先」をセットでまとめましたので、ご自身の状況に当てはまりそうなものがないか確認してみてください。

① 高額介護サービス費

1か月に支払った介護サービスの自己負担額が一定の上限を超えた場合、超えた分が後から払い戻される制度です。介護保険のサービスをたくさん使った月ほど、戻ってくる可能性があります。上限額は所得に応じて区分が分かれているとされています。

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対象の目安:介護保険サービスの1か月の自己負担が上限を超えた方
申請先:お住まいの市区町村の介護保険担当窓口

対象になると市区町村から通知が届くことが多いとされていますが、自治体によって運用が異なります。詳細・最新の条件は市区町村の窓口へご確認ください。

② 居宅介護住宅改修費(住宅改修)

自宅に手すりを付ける、段差を解消する、滑りにくい床材に変えるなど、介護のための小規模な住宅改修にかかった費用の一部が支給される制度です。一般的に上限20万円までの工事に対して、原則1割(所得に応じて2〜3割)の自己負担で済むとされています。たとえば20万円の工事なら、自己負担は2万円程度というイメージです。

ただし、工事を始める前に申請(事前申請)が必要とされている点に注意が必要です。先に工事をしてしまうと対象外になることがあるため、必ず事前にケアマネジャーや窓口に相談してください。

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対象の目安:要支援・要介護認定を受けた方の自宅の介護向け改修
申請先:お住まいの市区町村の介護保険担当窓口(ケアマネジャー経由で進めるのが一般的)

上限額や対象工事の範囲は自治体で異なります。詳細・最新の条件は市区町村の窓口へご確認ください。

③ 福祉用具のレンタル・購入費

介護に必要な用具を、介護保険を使って借りたり購入したりできる制度です。一般的に、介護ベッドや車いす、歩行器などは「レンタル」の対象とされ、入浴用のいすやポータブルトイレなど、肌に直接触れて再利用しにくいものは「購入」の対象とされています。

購入の場合は、年間で一定の上限額までが補助の対象になるとされています。レンタル・購入のどちらになるかは用具の種類によって決まっているため、ケアマネジャーや福祉用具の専門員に相談すると分かりやすいです。

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対象の目安:要支援・要介護認定を受け、その用具が必要と認められた方
申請先:ケアマネジャー・福祉用具貸与事業者・市区町村の窓口

対象品目や上限額は制度・自治体で異なります。詳細・最新の条件は市区町村の窓口へご確認ください。

④ おむつ代の助成・医療費控除

在宅介護で意外と負担になるのが、毎月のおむつ代です。これについては、大きく2つの方向で負担を軽くできる場合があります。

1つ目は、自治体によるおむつの現物支給や購入費の助成です。要介護度や住民税の状況など、一定の条件を満たす方を対象に、おむつを支給したり費用の一部を助成したりする制度を設けている市区町村があるとされています。実施の有無や条件は自治体によって大きく異なります。

2つ目は、おむつ代が医療費控除の対象になる場合があることです。一定の条件(医師が必要と認め、所定の証明書があるなど)を満たすと、確定申告の際に医療費控除としておむつ代を申告できるとされています。こちらは税の手続きになるため、税務署や市区町村の税務担当に確認するのが確実です。

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対象の目安:自治体の条件を満たす方/医師が必要と認めた方など
申請先:おむつ助成は市区町村の介護・福祉担当窓口、医療費控除は税務署・確定申告

助成の有無・条件・証明書の要否は自治体や状況で異なります。詳細・最新の条件は市区町村の窓口へご確認ください。

⑤ 介護休業給付金

家族を介護するために仕事を休んだ場合に、雇用保険から支給されるお金です。一定の条件を満たす働く人が、対象家族の介護のために「介護休業」を取得したときに受け取れるとされています。収入が一時的に途絶える不安を、いくらか和らげてくれる制度です。

支給の対象になる日数や金額、申請のしかたには細かい条件があります。会社(人事・総務)やハローワークが窓口になることが多いため、まずは勤め先に相談してみるのがおすすめです。

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対象の目安:雇用保険に加入し、家族の介護で介護休業を取得した働く方
申請先:勤務先(人事・総務)またはハローワーク

支給日数・金額・条件は制度改正で変わることがあります。詳細・最新の条件は勤務先やハローワークへご確認ください。

⑥ 高額医療・高額介護合算療養費

1年間(一定の期間)にかかった医療費と介護費を合算して、その自己負担額が一定の上限を超えた場合に、超えた分が払い戻される制度です。「医療費だけ」「介護費だけ」では上限に届かなくても、両方を合わせると対象になることがあります。

医療と介護の両方で出費が重なっているご家庭ほど、確認する価値がある制度です。上限額は所得や年齢の区分によって変わるとされています。

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対象の目安:1年間の医療費と介護費の自己負担合計が上限を超えた方
申請先:お住まいの市区町村の窓口(加入している医療保険によって異なる場合あり)

対象期間や上限額は制度・所得区分で異なります。詳細・最新の条件は市区町村の窓口へご確認ください。

⑦ 障害者控除・各種税の軽減

要介護認定を受けている方が、一定の条件を満たすと税金の「障害者控除」の対象になる場合がある制度です。障害者手帳を持っていなくても、市区町村が「障害者控除対象者認定書」を発行することで、所得税や住民税の控除を受けられることがあるとされています。

これは申告しないと適用されないため、見落とされやすい制度のひとつです。該当しそうな場合は、市区町村の窓口で認定書を発行してもらえるか確認し、確定申告や年末調整で申告することになります。

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対象の目安:要介護認定を受け、市区町村が障害者控除の対象と認定した方
申請先:認定書の発行は市区町村の窓口、控除の申告は税務署(確定申告・年末調整)

認定の基準や対象は自治体で異なります。詳細・最新の条件は市区町村の窓口へご確認ください。

制度をひと目で確認【早見表】

ここまでの7つの制度を、表にまとめました。「自分はどれが使えそうか」を確認する手がかりにしてください。くり返しになりますが、金額や条件は自治体・年度で変わるため、最終的な確認は必ず窓口で行ってください。

制度 ざっくり内容 主な申請先
高額介護サービス費 1か月の介護サービス自己負担が上限超で払い戻し 市区町村の介護保険窓口
住宅改修費 手すり・段差解消など上限20万円まで原則1割負担 市区町村の窓口(ケアマネ経由)
福祉用具レンタル・購入 介護ベッド・車いすのレンタル、入浴補助具などの購入補助 ケアマネ・福祉用具事業者・窓口
おむつ代の助成・医療費控除 自治体のおむつ給付や、医療費控除の対象になる場合 市区町村の窓口・税務署
介護休業給付金 介護で休業したとき雇用保険から支給 勤務先・ハローワーク
高額医療・高額介護合算療養費 医療費と介護費を合算し上限超で払い戻し 市区町村の窓口
障害者控除・税の軽減 要介護認定者が障害者控除の対象になる場合 市区町村の窓口・税務署

まず誰に相談すればいい?

「制度はたくさんあるのは分かったけれど、どれが自分に使えるのか分からない」——これが正直なところだと思います。一つひとつ自分で調べるのは大変ですし、見落としも出てきます。そんなときは、まず次の相談先を頼ってください。

地域包括支援センター

高齢者やその家族の介護・福祉・お金の相談を無料で受け付けている、いわば「介護の総合窓口」です。お住まいの地域に必ず設置されています。どこに相談していいか分からないときは、まずここに電話するのが安心です。

ケアマネジャー(介護支援専門員)

すでに介護保険のサービスを利用している場合は、担当のケアマネジャーが心強い相談相手です。住宅改修や福祉用具など、ケアマネジャーが手続きの入り口になる制度も多いため、「こんな費用がかかっていて困っている」と正直に伝えてみてください。

市区町村の窓口

高額介護サービス費やおむつ助成、障害者控除の認定書など、最終的な申請や確認は市区町村の窓口になることがほとんどです。担当課は「介護保険課」「高齢福祉課」「税務課」など制度ごとに分かれていることが多いので、電話で「○○の制度について聞きたい」と伝えれば担当につないでもらえます。

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迷ったら、まずは地域包括支援センターへ

「どこに相談すればいいか分からない」という段階なら、地域包括支援センターに電話するのが近道です。状況を聞いたうえで、使えそうな制度や適切な窓口を案内してもらえます。

まとめ:使えそうな制度を確認しよう

在宅介護のお金の制度は、申請しないともらえないものばかりです。最後に、この記事でご紹介した制度をチェックリストにまとめました。「もしかして使えるかも」というものがないか、確認してみてください。

使えそうな制度を確認しよう【チェックリスト】
  • 介護サービスの自己負担が高い月がある → 高額介護サービス費
  • 手すり設置や段差解消などの改修を考えている → 住宅改修費
  • 介護ベッド・車いす・入浴補助具などが必要 → 福祉用具のレンタル・購入
  • 毎月のおむつ代が負担になっている → おむつ助成・医療費控除
  • 介護のために仕事を休む必要がある → 介護休業給付金
  • 医療費と介護費の両方がかさんでいる → 高額医療・高額介護合算療養費
  • 要介護認定を受けていて税の申告をする → 障害者控除・税の軽減

1つでも当てはまるものがあれば、ぜひ一度、地域包括支援センターやケアマネジャー、市区町村の窓口に相談してみてください。制度は「知って、申請して」初めて受け取れます。少しの手間で家計の負担がぐっと軽くなることもありますので、知らないまま損をしないようにしたいですね。

なお、ここでご紹介した金額や条件はあくまで一般的な目安です。お住まいの市区町村や年度によって変わりますので、実際に利用する際は必ず市区町村の窓口で最新の情報をご確認ください

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